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ヴィスコンティ映画 家族の肖像 美しい音楽と不愉快で魅力的な人々

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ユジク阿佐ヶ谷の「ルキノ・ヴィスコンティ特集」の中の「家族の肖像」を見に行ってきました。

以前映画館で一度見たのですが、全体の雰囲気はなんとなくわかるけど内容はさっぱり覚えていないに近い状態、なのにパンフレットを買ってしまったほど魅力があったらしい。
当時何に惹かれたのか、楽しみでした。

 

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家族の肖像の物語と音楽

ローマの高級住宅街で一人、孤独ながらメイドがいるだけの平穏で静かな暮らしをしていた老教授の元に、ありえない厚かましさの伯爵夫人がやってきた事から全てが始まる。

「上の部屋を貸して欲しい」

全く貸す気がない老教授に、夫人の娘、その婚約者など「家族」達が策を練り、強引に部屋を借りてしまう。

家族が無理やり借りたその部屋に実際住んだのはヘルムート・バーガー演じるコンラッド

様々な問題を引き起こすコンラッド、無礼でヒステリックな伯爵夫人、終始愛想のいい笑顔で接しながらも、まるで話のかみ合わない娘…

最悪の闖入者たちではありながらも、次第に「家族」のように思い始めてしまい…。

…このような内容がモーツァルトの美しい音楽とともにすすんでいきます。
この作品は音楽や映像による「ヴィスコンティの世界観」に魅力を感じる人が多いようですね。
「家族」たちが大音量でかけていた音楽なども、いいんですよねなんか…声がね、なんていうかすごく素敵でした。

残念ながらサントラは入荷予定がないようです。

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胸クソ悪いレベルの厚かましさながら魅力的な人たち

ところでこの映画、始まった直後からイライラしてくるのです。
とにかく侯爵夫人が無礼で、厚かましい。
映画の中の事とはいえ、タバコを吸いながら部屋を歩き回るのも気になるし、言ってることがとにかくめちゃくちゃ。

娘は可愛いくて明るく、愛想のいい笑顔を常に浮かべながらも自己中心的、全く会話が成立していない。

そして、侯爵夫人の愛人コンラッド。
美しく不遜で道徳心のかけらもない人物。
なのに、老教授の心に入り込んでしまうような、無礼な物言いの後の静けさだったり、音楽や絵画の知識だったり…そんなものがあるのです。

残念ながら、こういう人物は魅力的である場合が、ものすごく多い。
悪党や詐欺師に共通の「人たらし」という特別なスキル。

いいか悪いかはともかく、一山いくらの「可もなく不可もなく」の一般人とは、やはり決定的に違うのです。

現にイライラしながら見ていた自分も、老教授のようにコンラッドやその家族たちに少しずつ愛着を感じていってしまったのです。

この映画の魅力は登場人物たちによるものも大きいです。

大きいのですが…番自分の心に残ったポイントは「孤独」です。

自分が知りたかった「何故当時この映画をいいと思ったのか」については、これから老教授に死ぬまでついてまわる「孤独」でした。

ネタバレしてしまうのであまり書けませんが…
そしてこの映画を見た方にとっては「どうしてそこ?」と思ってしまうところかも知れませんが…

コンラッドの足音が聞こえる、それはずっと続いていて永久に止む事がない…
という底のない孤独。

最初からなかったものと、一度はあったのになくしてしまったものと…
今現在「ない」という状態においては同じでも全くの別物だという、とりもどせない感。

見終わった後色々考えてしまうタイプの映画ですが、見に行って良かったです。

見に来ていた人たち

映画好きオーラのある、少し年齢層高めの常連さんが多かったようです。
阿佐ヶ谷はけっこう遠いので、素敵な映画館ながら会員さんにはなれないのが残念です。

ロビーも雰囲気があってちょっといい感じでした。
座席数は48席と少ないけれど、椅子は快適でしたよ。
駅から近く、迷いようがないわかり易い場所なので、そのへんも大丈夫です^^。

予告を見ているだけでも「これおもしろそう、見たい」と思うものばかりでした。
お近くの方は是非!

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